書評 『D・カーネギー 人を動かす』
人を動かす三原則
頁31 人を批判しない
人は自分がどんなに間違っていても、心の底から自分が悪いとは思わない→自分を正当化する、反抗心を起こす、必ず自らに返ってくる。
頁48 批判せず、人をほめる
どんな人間でも、何かの点で私より優れている。
人を動かす秘訣は自ら働きたくなる気持ちを起こさせること←承認欲求を掻き立てる。
人間には使いこなせず宝の持ち腐れになっている能力が必ずある。
批判によって人間の能力はしぼみ、ほめ言葉によって開花する。
頁72 相手の立場になり、どうすればそうしたくなる欲求を相手に起こせるかを考える
これは承認欲求とはまた違う。その行動のメリットを相手に訴求する
採用面接では自分が会社にとってどう役立つのか伝える(私を採用するメリット)
人に好かれる六原則
頁88 相手に関心を寄せる
人間は他人のことに関心を持たない。ひたすら自分のことに関心を持っている
人は結局、自分をほめてくれる人を好む
名前を覚える→人は自分の名前に特別な愛着を持っている
相手に質問をする→相手が喜んで答える質問(話したいこと)
自分のことだけ話さず、聞き手に回る
相手に敬意を示す→丁寧な思いやり 育ちの良さを証明し、周りにも好印象
人を説得する十二原則
頁160 議論を避ける
議論に本当の意味で勝つのは不可能→負けた方は反抗心を抱く。そのうえ、たとえ議論に負けてもその人の意見は変わらない。そもそも議論というのは「お前は間違っている」と相手を批判しているようなものである
議論に勝利しても、相手の好意は得られず、その人との関係性は悪化する。
では、どうするか?
腹を立てない まず、相手の言葉に最後まで耳を傾ける→意見が一致する点を探す
頁176 誤りを指摘しない
人は自ら自分の非を認めることができても、他人からそれを指摘されると、なかなかできないものである。
間違いを指摘するにしても、即座にそれを全否定するのではなく、「私はこう思うのではどうでしょうか?」と最終決定権を相手に授ける
頁185 誤りを認める
他人から間違いを指摘されて、それを認めるのは難しいものである。であれば、間違いに気づいた時点で自分の誤りを認めてしまう。
誤りを認められてしまうと、指摘したほうも尻すぼみになり好意的な対応、サポートをしてくれる。反対に言い訳などしようものなら、相手も全力で攻撃してくるだろう。
自己の過失を潔く認めるのは、その人の値打ちをも引き上げる
頁198 穏やかに話す
相手が怒っている時には、どんなに合理的に話しても説得は不可能→優しく打ち解けた態度こそが相手の心を変えることができる。
頁222 命令するのではなく思いつかせる
押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうがやる気になる。
質問形などにすると、相手に思いつかさせやすい。
人を変える九原則
頁272 遠まわしに注意を与える
やむを得ず、人を注意しなくてはならない場合ストレートに言うのではなく遠まわしに注意することが重要である。
また、自分の失敗を話してから注意する方法も有効である。
注意する時は以下のことを肝に銘じておく必要がある。
相手の自己評価を傷つけ、自己嫌悪に陥らせる権利など私にはない。大切なのは相手がどう自分自身を評価するかであり、私が相手を評価するかではない。
相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪である。
頁301 期待をかける
良い評判を立ててやると、人はその評判に応えようとするものである。
短所を改善させたい時はその部分を何らかの形で評価すると良い。
人を変えたい時は以下のことを考えるとよいだろう。
誠実であれ
相手にしてほしことは何なのか明確にする
相手の立場になる。相手の望み(相手にとっての利益)を考える
それをどうすれば、与えられるか考える→物事を依頼する時に相手の利益を相手に把握させる
この本に書かれていることはおそらく正論であろう。しかし、この本の原則が全てに通用するわけではないし人間だから上手く原則を活用できないこともあるだろう。また、全てを実行しようと思えばなかなか困難である。だが、難しく考える必要はない。この本の言いたいことのほとんどは最初の3つの原則に帰着する。だから、まずは最初の3つを徹底的に意識しよう。気づけば、他の原則も徐々にモノにできているだろう。